陸上を競技として認識したのは高校に入学してから。
共技として認識したのは大学3年でマイルにはまってから。
それまでは陸上は一人でもできると思っていた。走れていると思っていた。

個人競技と言われる陸上。
でも、自分は一人では走れない。弱い人間だから。
泣きあり、妥協ありのとても弱い人間だから、一人になったとたんに不安で押しつぶされそうになる。
いや、押しつぶされる。

1分もかからない、たった数十秒のレースですら一人では走れない。
集中して無心で走る事なんてできない。
スタート前にはとてもいろいろな事が頭をよぎる。集中なんてとんでもない。
少しでも落ちつかせようと、レース前は必ず天を仰ぎながら深呼吸をする。
応援してくれている人達を想い浮かべながら、ブロックにつく。

レースが始まってからも一人ではない。
自分のペースで走っているつもりでも、左右のレーンの足音や呼吸を感じる。もちろん目視もする。
決して一人ではない。

そんなの力がないだけと笑う選手もいるかもしれない。
でも、それが自分の走り方。
だから県選手権どまりだったのかもしれない。
でも、それでいい。いや、それがいい。

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