かなり後ろ向きな気持ちで取得した有給休暇。
その気持ちは晴れ渡る青空と同い年の元県記録保持者の姿によって、清々しい一日の始まりを予感させるものになった。

「おはよー」
「おはよう」
「今日は仕事やすみ?」
「そうそう、そっちは夜勤明け?」
「いや、今日は昼からですわ~」
「練習終わったら仕事か~ 大変やねぇ」
競技場の開場と共に姿をあらわした彼と交わした会話はたったこれだけ。

彼は日常で多くを語らない。
その分、競技に、練習に対する後ろ姿が誰よりも多く、そして力強く語りかけてくる。
競技とは、アスリートとはなんたるかを考えたければ彼の背中を視れば良い。
自分が金沢に残る決意を与えてくれた、厳しさと優しさを教えてくれた先輩。バトンと共に心を繋いできたリレーメンバー。暑い日も寒い日もつらい練習と一緒に向き合ってきた仲間達。

空は青く澄み渡り
ゴール目指して走る
つらくても大丈夫
僕らはもう一人じゃない♪

陸上競技は個人競技?
とんでもないっ!!

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